<シリーズ05>WEBSAS Day Vol.2 WEBSAS×CMS ~いまさら聞けないCMSとは~

2015/6/12(金)、WEBSASが最も得意とするサービスであるCMS導入をメインテーマに掲げ、社内向けセミナー「 WEBSAS Day Vol.2 WEBSAS×CMS ~いまさら聞けないCMSとは~ 」を開催しました。

本セミナーは、CMSを始めWEBSASの多くの案件で、プロジェクトマネージャやITアーキテクトとして参画する上野氏が講演しました。

2015年6月29日 WEBSAS 広報

「Web戦略」に寄与するCMS導入。
サイト本来の目的を達成するための極意とは。

セミナー風景

1990年代後半のインターネット普及後、企業のサイト構築はしばらく前に一巡しています。その中でCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)も一緒に普及してきました。 多数の情報サイトをスピーディに構築することができるCMSは「構築や管理効率化のためのWebコンテンツ管理ツール」として最適だったのです。

しかしCMS以前にそもそもそのサイトの効果はきちんと得られているのでしょうか。

実際に多数の顧客とプロジェクト推進していく中で、数々の失敗例も目の当たりにしました。 失敗する理由には大きく分けて二つ。 そして今後、サイトは大きく二つの目的をもって再構築されていくでしょう。

企業がサイト導入で失敗する主な理由

組織体制の問題

サイト本来の目的は、顧客満足度の向上と売り上げ拡大への寄与です。 サイトの主幹部門の担当者は、サイト構築自体を目的にしてしまうことがあります。 サイト構築時、初期の課題認識やコスト意識を持っていても、運営・更新となると、手が回らないケースが見受けられます。

  • 顧客が知るべき情報を効果的に発信し続けるための組織・運営体制やコストなどが十分に見込まれていない。
  • 年数とともに、情報が古く不正確でユーザニーズにマッチしていない情報のままになっている。

企業が本気でWebを重要な販路として活用していきたいのであれば、サイトのオーナーがリーダーシップを持って、メンバーを鼓舞しながら、推進していかなければなりません。ブランディングを大切にするBtoC系サイトでは比較的このケースは少ないですが、BtoB系ビジネスを展開する企業の場合かなりの数のサイトが該当してしまいます。

サイトオーナーの意識の問題

そしてもう一つ、顧客の事を理解しないままサイトを作ろうとしてしまう、サイトオーナーの「意識の問題」があります。 ユーザがどういう流入経路でどのような目的や意図でサイトにランディングし、そしてサイトで何を得てほしいのかというように、顧客視点で考えきれていないのです。 企業側が一方的に伝えたい情報だけを掲載していて、目的にあったコンテンツが存在しない、見つけられない。 これは運用改善がされていないケースです。 自社の発信したい情報だけではなく顧客理解をしていくことは、とても大事です。 これは、サイトオーナーの「意識」と「リーダーシップ」が重要になってきます。

本来の目的を達成しないままサイトが乱立した中、今後のCMS導入案件の目的と効果は?

その1.ガバナンスの向上

情報発信を優先してサイト構築を繰り返してきた結果、数十を超えるサイトを保有しているケースは珍しくありません。 各組織の判断で商品単位、部署単位、グループ会社単位、各国単位などで、専用サイトを用意した結果、サイトの数ばかりが増えてきてしまったのです。 これではプロモーション活動もバラバラとなり、それぞれのサイトでの施策の効果も、今一つ。ブランド力向上など望むべくもありません。 この流れを是正しようと、ここ数年、CMSを使って統合する動きが活発化しました。 統合商品情報サイト構築、グローバルサイト構築、コーポレートサイト統合といった、多くのプロジェクトがこの「ガバナンスの向上」に該当します。

統合の目的は様々ですが、主に「クロスセル」「ブランド力向上」「サイト運営の全体最適」を効果としたWebガバナンス向上を目的としていることが多いです。

特に重要かつ事例が多いのはクロスセル。 サイト内で閲覧した商品がユーザの求める商品ではなかった時に他商品への誘導ができない、これでは大きな機会損失です。 運営体制全体を見直すことで、これまで部署ごとに保有していた重要な情報を、「企業として顧客情報を一元的に扱うことで、シームレスに連携できるようになる」といったメリットも挙げられます。

ブランド力向上といっても施策は様々ありますが、「企業の統合された公式サイト配下で、一元的に情報発信すること」、それ自体がブランド向上につながります。 さらに、サイトの認知が上がり、情報の信頼性・充実度の向上といった効果もあります。

サイト運営の全体最適の主なメリットは、「商材をもっている各プロモーション部隊が、全社一体となって販促イベントの運営やコンテンツ制作を実施できる」ということです。商品単位で販促活動を行った時のように、販促ができている商品とできていない商品に二極化するということがありません。 また、効率的な運営により、プロモーション効果もスピードもあげることができます。

その2.カスタマーエクスペリエンス(CX)の整備

日本語では「顧客経験価値」と訳されることもありますが、最も適した訳は「おもてなし」です。 Webサイトは、いまや重要な顧客チャネルであることは周知の事実です。

Webサイトでのおもてなしとは「一人一人に合ったコンテンツを提供すること」ということ。 パーソナライズ、One To One、カスタマーエクスペリエンス、言葉は違えど、これらの根幹は全て同じことを意味しています。

** カスタマーエクスペリエンス(おもてなし)整備のための実施事項 **
  • コンテンツの充足と見つけやすい情報構造
  • CRM統合・データ蓄積した上でレコメンド
  • オフラインへの連携(営業、リアル店舗、プロモーション活動)

「Webでのおもてなし」を実現していく流れ

  1. 一人一人にあったコンテンツを充足
  2. コンテンツ数の増大
  3. 検索、レコメンド機能の充実(見つけやすさを重視)
  4. CRM(顧客データ)との連携
  5. 顧客理解するための行動履歴データ収集や分析。サイトから得られた顧客情報やニーズをプロモーション・営業活動・リアル店舗、あるいはコールセンターのアウトバウンド業務へと展開

Web上だけではなくオフライン上でも行えるおもてなしに活用

ここまでやれば、カスタマーエクスペリエンスの整備によるサイトの効果が最大化されます。 しかしこれらの実施事項には順番があります。

まず着手すべきは、コンテンツの整備です。 何をするにもWebではコンテンツがない限り始まりません。 そしてコンテンツが基本である以上、サイトのカスタマーエクスペリエンス整備には、CMSが必須です。

最近の戦略的Web案件でCMSが重要視されるのはこのためです。 とはいえCMSだけではすべてを実現できるわけではありません。 ガバナンス向上。カスタマーエクスペリエンス整備。 これらが最近のWeb戦略の根幹であり、CMS導入の効果であり、成功のポイントでもあるのです。

WEBSASでは、CMS等の製品ありきではなく「企業の課題解決や目的にフォーカスをあてる」と同時に、当社SCSKがSIerの使命として提供する「おもてなしを実現するためのソリューション群」を生かした、多彩なソリューションラインナップを充実させています。

これらの成功事例の1つとして、ファイザー株式会社様の事例を紹介します。 実際にガバナンス向上やカスタマーエクスペリエンス整備が如何にビジネス上の効果があるのか、こちらの事例紹介でご確認ください。

ところで、CMSってどんなことができるの?

CMSは、顧客にも市場にも十分に浸透しつつあるキーワードとなりましたが、未だにこの言葉の持つイメージは様々です。

そこで、WEBSASで実績のある4つの「CMS製品」の特徴と、製品を問わない多くのCMSが持つ「標準的な機能」をご紹介します。

CMSをどう選んでよいかわからない。

WEBSASでも複数のCMSを取り扱っていますが、市場にはたくさんのCMSがあります。 少しでもわかりやすくするために以下3つの分類を参考にしてください。

  1. ブログ、Wiki等のコミュニティ系CMS
  2. 静的サイトの管理効率化を主軸としたCMS
  3. Webチャネル基盤として長く使えるCMS

分類1.ブログ、Wiki等のコミュニティ系CMS

ブログやWikiなど、「とにかく簡易かつスピーディにサイトを立ち上げて、情報掲載すること」に特化しています。基本的な機能は備わっていますが、ページ単位のコンテンツ管理、階層構造での管理する機能が省略、簡素化されています。個人、小規模のサイトに使われることはあってもエンタープライズで利用されることはまれです。

分類2.静的サイトの管理効率化を主軸としたCMS

階層構造のコンテンツ管理機能の充実、パーツ単位のコンテンツ管理、権限管理や承認ワークフロー、多言語、マルチデバイス対応など、エンタープライズで利用できる機能が充実してくると、この分類2にあてはまります。ただし、ここで止まってしまい次の分類3のレベルまで昇格できないものが多くあります。

分類3.Webチャネル基盤として長く使えるCMS

動的配信を基軸にしたCMSであることが必須条件です。静的配信では戦略的サイトで必須であるパーソナライズや外部システム連携が行いにくいためです。 そして柔軟なカスタマイズ性とマーケティング関連機能。これらのいずれかは、充足していることが求められます。 戦略的なサイトほど多機能が求められますが、必要なすべての機能が備わっているCMSは戦略的なサイトほど見つからないはずです。

長く・多くのサイト基盤として使うためには、必ずカスタマイズが必要となってきます。また、「CMSの保守性の低さがサイトの目的達成のボトルネックにはなってはいけない」ということも重要なポイントです。

Webが重要な顧客チャネルである以上、「レコメンド」や「パーソナライズ」、分析などの「マーケティング機能」が充足していることが求められます。 マーケティング機能に関しては、CMS機能ではなく他のクラウドやパッケージと組合せることで機能を補完・強化したり、補完だけではなく、それらに特化した製品と組合せることで、さらに機能を充実させたりすることもあります。これらはより望ましい機能といえるでしょう。

WEBSASでは、主に分類2~3のCMS製品を取り扱っていますが、主軸はやはり分類3です。 市場としてもそのニーズが高まっています。 最近は分類3のレベルのCMSを探されているお客様が多く、CMSのパッケージベンダーもそのレベルであることをアピールしてきます。

CMS導入でよくある誤解!!利用価値を高める有意義なCMSの使い方をご提案します。

多数経験したからこそわかる「CMS導入における3つのポイント」をご紹介します。

CMS導入、よくある3つの勘違い

その1.パッケージを入れて標準機能からカスタマイズするだけ。

CMSを導入する際、最もコスト・期間がかかるのは、「サイト全体の情報設計・デザイン設計」と「テンプレートの設計・開発」です。 ブログ系CMSの場合は、標準テンプレートが多数用意されており、それらを使って簡単にサイトを立ち上げることができます。 個人や小規模サイトならそれでも良いかもしれませんが、エンタープライズの戦略的なサイトの場合はそれで済むことは、まずありません。 サイトの課題や目的を理解した上で、しかるべき「コンテンツ整理」「情報設計」「ユーザビリティ検討」「デザイン設計」「テンプレート設計・開発」「コンテンツ管理の運用設計」「権限設計」等をしていきます。 その為、通常の開発と同様にウォーターフォール型に必然的になっていきます。 戦略的なサイトほど上流設計に時間がかかることは言うまでもありません。

その2.なんでもかんでもテンプレート化する。

情報過多のこの時代、コンテンツは多様であることが当たり前です。 1つのサイトで10万以上のコンテンツがあることはもはや珍しくありません。 コンテンツが多数存在するサイトにCMSを導入する際、まずはコンテンツを整理し、テンプレート化するためにコンテンツをパターン化していくのが常套手段です。

とあるWebコンサルティング企業が、10万以上のコンテンツを苦労して、200にパターン化しました。 そのテンプレートをSCSKに開発してほしい、というご相談をお受けしたことがあります。 CMS開発における大体のケースでは一つのサイトで20~30テンプレート、多くても50テンプレート程度が妥当です。 時間とコストをかければ200テンプレートを作ることはできますが、一番気にしなければならないのはテンプレートの種類の数だけ、運用者が各々のコンテンツの入力方法を覚えていく必要があるということです。 実際の運用上、それは非常に難しく、また扱いにくいものとなってしまうのではないでしょうか。

一般的にテンプレート化すると、コンテンツのガバナンスが効く、一方、規制が厳しくなります。 そしてCMSにはWYSIWYG(ウィジウィグ)という、OfficeのWordのように自由にコンテンツを作成できる機能が必ずあります。 大事なことは、コンテンツのどこを統制して、どこを自由にしていくかをきちんと切り分け、テンプレート数・コスト・期間を妥当にしていくことです。

その3.オールインワンのCMSを探す。

機能が多いCMSはもちろん良いものです。

サイト戦略を見直し、良いサイト企画ができ、よいRFPが作れたとしましょう。 そして「この要件に合うCMSを提案してほしい」とSIerやCMSパッケージベンダーへ、提案を求められます。 「ご要望の機能は全て備わっています」というCMSのパッケージベンダーの意見があるかもしれませんが、そこはあまり信用しすぎず、適切に見極め、「CMSの機能を使うだけでなくサイトの目的を達成するためには、SIとカスタマイズによる機能拡張が必須」と考えていただきたいところです。 戦略的なサイトほど標準機能のカバレッジは低くなる傾向があります。

最後に

CMSの使い方は、各企業のサイトによって大きく異なります。

たとえば、

  • 多数の情報サイトの統合基盤としてCMSを使い、検索エンジン、レコメンドエンジン、サイト分析サービス、マーケティングオートメーションなどと組合せる。
  • 会員制サイトであれば、CMSにCRM機能をカスタマイズで作成したり、既存CRMと連携したりする。
  • メーカ系商品情報サイトの場合は企業の保有するPIM(プロダクト・インフォメーション・マネジメント)と連携し、CMSで管理しているWeb専用コンテンツとマージして、ページを生成する。
  • ECサイトの場合は、ECパッケージとCMSを共に用いて、ECで管理できないキャンペーンなどの商品情報以外のコンテンツをCMSで管理する。
  • FAQなどのサポートサイトの場合はCMS単体で構築する。
  • サポートサイト専用のクラウドサービスと組合せる。

・・・など

多くのCMS製品の中から適する製品を選定し、どのようにCMSを利用・カスタマイズするのか。 また導入によって得られる効果を、いかに最大にしていくか。 こういったCMSパッケージへの、WEBSASならではの味付け(付加価値の創出)が、顧客やエンドユーザーにとっての有意義なCMSの使い方につながると考えています。

実績のご紹介

WEBSASの数ある事例の中でも、特に大規模CMS案件である日本経済新聞社様の事例や、株式会社ジュピターテレコム様の事例をぜひ一緒にご参照ください。

講演者からのメッセージ

僭越ながら私のプロジェクトの経験から得られたものを、セミナーを通して皆様にお話しさせて頂きました。少しでもお役立ち頂ければと思っていますが、本日のテーマとして取り上げたCMSはほんの一部のお話です。特に我々はWebサイト構築だけではなく、Webサイトを中心としたデジタルマーケティング基盤を全般的にお客様へご提供できるサービスを整えつつあります。時流にあったサービスをさらに拡張していきますので色々な課題を気兼ねなくご相談いただければと思います。ありがとうございました。

上野裕司

上野 裕司

2003年CSKネットワークシステムズに入社、2004年にCSKへ転籍。主にインフラ領域のアーキテクトとしてキャリアをスタート。 2008年にWebサイト開発に関する興味を強くし現所属へ転籍。 以後、Oracle WebCenter Sites、OpenCms、eZ PublishといったCMSプロダクトを中心とした開発プロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャやITアーキテクトとして参画。 Webに関する開発技法、ミドルウェアなど多彩な要素技術に関する深い見識を活用し、数々のプロジェクトの成功に大きく貢献している。 2013年には日本経済新聞社様 英文メディアサイト構築プロジェクトにPM兼アーキテクトとして参画し、ITコンサルティングからローンチまでの全工程において活躍したことが記憶に新しい。趣味はイクメン。

編集後記

昨年2014年11月のVol.1に続き、WEBSASが主催する社内外セミナー「WEBSAS Day」を今期もやりましょうというプロモーション活動の一環で企画したVol.2。
更なる社内認知度の向上と、CMS案件への営業チャネルの拡大を目的に企画した社内セミナーでしたが、単なる製品の紹介だけでなく、ITアーキテクトによる経験から得られた生の声をご紹介することができたのではないかと感じています。 当日のアンケートでも、「CMS=コンテンツ管理というイメージが強かったので、本日のセミナーを聞いて認識が変わり、良かったです。」といった声や、ご満足頂けたという評価を多数頂くことが出来ました。
上野さん、業務多忙の中、企画から原稿・アフターレポートに至るまで、どうもありがとうございました。

本記事ではセミナーのすべてをお伝えすることはできませんが、今後もWEBSASならではの視点を生かしたWeb全般に関するコンテンツを多数掲載していく予定です。ご期待ください。