住友商事株式会社様 グローバルWebサイト構築事例
基本情報
- 業種
- 金融・商社
- 導入規模
- 5000~9999人
- 業務
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商社
- プロジェクト期間
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12か月
- サーバー環境
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AWS(Windows Server)/IIS/Sitecore
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- 実施行程
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要件定義/システム開発/システム運用/業務運用
豊富な導入実績を参考に、貴社に合うサービス要件を提示します。
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課題・導入の背景
――今回のプロジェクト立ち上げの背景について教えてください。
『100周年を目前に、各国で独自に構築・運用されてきたWebサイトの見直しに着手』
住友商事株式会社 広報部 制作チーム 登坂祐哉 様
住友商事株式会社は住友グループの大手総合商社として、グローバルネットワークを活用し、さまざまな産業分野で多角的な事業活動を展開しています。世界中に広がる拠点は60以上もの国・地域に及び、事業所は国内外に130以上、クライアント数は10万社を超えています。グローバルに広がるその強固なビジネス基盤は、これまでの地道な営業活動の積み重ねの上に築かれたものです。弊社のWebサイトは必ずしも営業ツールとしての重要な役割を担ってきたわけではありません。日本でこそ住友商事の知名度は高いと思いますが、海外では認知されていないケースも多く、どちらかと言えば企業理解、事業理解を深めてもらうことを目的としてきました。
しかし、各国でデザイン面、システム面共にバラバラに運用されていたWebサイト群は、住友商事ブランドとしての統一感に欠け、本来の強みを世界に発信しきれていませんでした。ツールの選択は各国の判断に委ねられていただけでなく、現場に運用を任せてきたことが主な原因です。
海外のスタッフはローテーションが激しく、Webサイトの更新が滞ってしまったり、場合によっては数年間放置され、いつの間にか誰も使わないサイトになってしまったりします。お客様がアクセスしたときに古い情報が表示されるうえに、各国が独自に立ち上げたページには本社の情報もありません。それこそ現地の情報だけで、住友商事の全体像や強みがまったく伝わらないわけです。こうしたWebサイトが、世界中に散在しているような状況でした。中には、担当者の手が回らず、セキュリティリスクへの対策が後回しになっているようなWebサイトもありました。
リニューアルするとなれば、グローバル全体でシステム基盤も含めた大幅な見直しが避けられません。しかし、本社Webサイトのリニューアルだけでも大がかりになることは想像に難しくなく、さらにグローバル統合までを視野に入れると、容易には踏み切れない事情もありました。新たなステージに向かうための起爆剤となったのが、2019年に見えてきた創立100周年の節目や本社の移転計画です。グローバルでブランドメッセージ、ブランド体験の統一化を図る絶好のタイミングを迎えたと言えます。
――導入にあたって意識されたことはなんでしょうか。
『共通情報と固有情報を切り分けつつ、ガバナンスを効かせたグローバルWeb基盤の構築へ』
ブランドとしての発信力を欠いた旧サイトへの反省から、改めてグローバルWebサイトのあるべき姿を模索するため、要件定義には十分な時間をかけました。現状を把握するため、各地域の運用担当者にアンケートも実施しました。その結果、Webサイトの活用意識や熱量に大きなばらつきがあること、ゴールもターゲットも一様ではないことなどが明らかになりました。
そこで、国ごとにシステム基盤も運用体制も異なる完全分散方式から、グローバルに発信すべき共通情報とシステム基盤を本社で一元管理し、固有情報のみを各地域が管理する方式への変更を決めました。これなら、運用の負荷を分散させつつ、ガバナンスを効かせやすい。そうなると、住友商事のグローバルWeb基盤として、高い信頼性とサービスレベルに加え、各地域の運用担当者が快適にアクセスし、利用できる環境が必要になります。良質なコンテンツを継続的に生み出していくためにも欠かせない条件です。
どんなにお金をかけて目を引くWebサイトを作ったとしても、使ってもらえなければ意味がありません。日本人が使いやすいシステムと海外の人が使いやすいシステムには乖離があって当然ですが、新しい運用基盤は誰にとっても使いやすいものにしたいという強い思いがありました。共通基盤を整備するにあたり最も重視したのは、ユーザビリティです。使いやすいシステムであることの判断材料としては、国内に限らず海外での実績も評価しました。また、導入前からCMSの限界が見えてしまうようでは、グローバル展開したときに各地域のニーズに応えられない可能性があります。導入後もやりたいことが継続的に実現できる柔軟性と可用性に優れたCMSであるかどうかにも注目しました。
導入の効果
――今回のプロジェクト後実現できたこと、変わったことを教えてください。
『大きく生まれ変わったWebサイトの可能性に気づき、少しずつ“自分ごと"に』
2017年に構築を開始してから約1年後、フェーズ1として進めてきた日本サイトおよび米州サイトがリニューアルを完了、この2サイトの共通基盤への集約が実現しました。現在は、フェーズ2として、再び約1年をかけて各地域サイトの統合化を進めています。米州サイトを優先したのは、Web先進国である米州で運用が軌道に乗れば、各地域への説得材料になるとの狙いもあります。
グローバルで統一されたコンテンツが自動的に配信されれば、彼らはメンテナンスの手間なく、これまで以上に住友商事のブランド力をアピールできます。また、米州の厳しい法規制に対し、システム上でカバーできることも増えます。Sitecoreを選んだメリットが大きかったからこそ、合意形成ができたのだと思います。
リニューアルサイトでは世界観を統一すると共に、グローバル企業に相応しく、住友商事の価値をわかりやすく伝える新しいデザインに刷新しました。事業規模を数値でアピールしたページや、事業特性をビジュアルで訴求したページなど、瞬時に企業の全容を把握できるコンテンツが増えています。完全統合に向けてプロジェクトは道半ばであり、定量的評価にはまだ早いですが、情報を探しやすくなった、訴求力が高まったと、社内からも好評です。社員が自社サイトに誇りを持てるようになると、モチベーションアップにもつながります。
今後は、グローバル統合を完了させ、各地域の運用を軌道に乗せることが当面の目標となります。リニューアルサイトは、各地域の運用担当者がまったく手をかけなかったとしても、常に本社が発信する情報が配信され、鮮度が保たれる仕組みです。でもそれは最低限のあるべき姿であり、目指すべき最終形ではありません。自社のWebサイトに可能性を感じてもらい、各地域の運用によって、より充実させていってほしいですね。
住友商事株式会社様 グローバルWebサイト構築における特徴
- 本社主導のコンテンツ配信
本社が発信した情報が各地域のサイトに自動で配信される仕組みを導入し、地域サイトの運用担当者の負荷を上げることなく常に最新情報が配信されているサイトを構築しました。そのうえで、地域サイトの運用を定常化させ本社と地域の情報が常に公開されるサイトを目指します。 - 各国の法規制を意識した柔軟なワークフロー機能
米国では制裁国の情報をwebサイトに乗せることは法によって禁止されています。コンテンツが本社から自動で配信されるものをただ表示するだけでは、法律違反となってしまう可能性があります。
特定地域サイトの特定のカテゴリの記事のみ、地域サイト管理者の承認を個別に経てから掲載するように設定できるなど、柔軟性に富んだワークフローを実装しました。 - グローバル展開やピーク時のページビュー増加に対する拡張性
日本へ集約したサーバーから遅延なく、グローバルへコンテンツ配信を行うこと、そして突発的なページビュー増加による負荷や将来的なグローバル利用の拡大にも柔軟に対応できる拡張性も必要とされました。
そこで、主要地域だけではなくグローバル全域に対応可能なCDNとしてAkamaiを、IaaS環境として「USiZEパブリッククラウドモデル(AWS)」を採用することによりグローバルサイト基盤として最適な構成を実現しました。
豊富な導入実績を参考に、貴社に合うサービス要件を提示します。
相談・お問い合わせ(無料)担当者コメント
上野 裕司
住友商事様は20年以上フォーチュン500に選ばれ続けるほどグローバル屈指の企業でありながら、そのポテンシャルが国外のWebサイトで伝わらないという状態は、既存サイトを確認すれば比較的わかりやすい課題であったと思います。グローバルでデジタル化が進む時流に対し、ヘッドクォーターの強力な旗振りが如何に重要であるかを改めて認識させてもらいましたが、一方では調整の難しさが身に沁みました。
国内だけでも多数のコンテンツオーナー部門、多数のシステム関連部門やパートナー企業がある上に、さらに各国独法が加わるため、グローバルで改革するにはこれほど部署が関連してくるのかと驚きました。システム面の全体PMとしての立場から振り返ると、このプロジェクトでは多くの関連部署を巻き込んだ体制構築と調整が最も難しかったと思います。
グローバルサイトに限らずWebサイトは運用が定着化してこそ、本来の目的を達成できます。その点まだ道のりは長いため、引き続きグループ会社としての強みを活かしながら、SCSKとしてご支援させて頂きたいと考えております。
五十嵐 美奈
グローバルサイト群再構築ということで、住友商事様のサイト達をどのようにまとめ作り上げていくのか、PRJ開始当初はイメージの共有が難しくうまく伝わらない、伝えられないということが多かったように思えます。
ですが、「サイトの最終イメージ」つまり「軸」となる部分をしっかりと共有できてからは、課題が発生しても立ち戻るポイントが明確になったため、迷うことがなく課題をクリアできました。
各国の規制と個性、そして本社と各国が望むこと。これらをシステムに落としていく事は難しく、試行錯誤を重ねてつくりあげたサイトです。
リリース後の今、システム的には「完成した!」といいたいのですが、サイトは構築してからが勝負だと思っています。
ここから始まる長い運用フェーズを経て、コンテンツも変わっていきますし、システム的にも変わっていくはずです。
これからもサイトの成長に少しでも役立てるよう住友商事様と一緒に歩んでいきたいと考えています。