CXとDXにはどのような関係がある?それぞれの意味や関連性を解説
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CXとDXは、どちらも現代の企業に欠かせない注目を集めている概念です。DXを推進すれば、同時にCXの向上も図れるなどの関連性があるため、両者の意味についてしっかり把握しておく必要があります。この記事では、CXとDXについて、それぞれの意味や関係を解説します。自社商品・サービスの品質向上のために、ぜひお役立てください。
目次
CX・DXとは
まずは、企業の商品やサービスの品質向上のために欠かせないCX・DXについて、それぞれの意味を解説します。
CX(カスタマーエクスペリエンス)の意味
CXとは、Customer Experienceの略語で、直訳すると「顧客体験」です。昨今のビジネスシーンで使われている意味としては、顧客の利用検討から入手後まで、商品価値につながる全ての体験を指します。
商品やサービスを購入・使用する際の利便性や満足感、さらに購入後のサポートやトラブル時の対応などが含まれ、企業が顧客満足度向上を図るうえで欠かせない重要な視点です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味
DXとは、Digital Transformationの略語で、直訳すると「デジタル変革」です。ビジネスシーンにおいては、デジタル技術を用いて、商品・サービスの開発プロセスやビジネスモデル、組織体制などを変革することを指します。
2018年12月には、経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を公表するなど、国をあげて推進されている概念の1つです。
CXに似た単語
CX(顧客体験)には、いくつか似た単語があります。ここからは、CXと混同しやすい単語の意味と違いについて解説します。
UX(ユーザエクスペリエンス)との違い
UXは、User Experienceの略語で、ユーザ(使用者)体験を指すビジネスシーンでも使われる単語です。顧客体験を指すCXと意味が似ていますが、体験の範囲が異なります。顧客が商品・サービスの利用検討から、利用後の体験までを含むCXに対して、UXは商品・サービスの利用シーンにおける体験に限られます。
CS(カスタマーサティスファクション)との違い
CSは、Customer Satisfactionの略語で、顧客満足(度)を指します。CSは、マーケティングや営業活動において重要視されており、売上向上を図るうえで欠かせません。顧客が対象となる点でCXと似ていますが、異なる視点の概念であるため、活用シーンに注意が必要です。関係性としては、CXにおける満足度を数値化すると、CSとして捉えられます。
DXは単なるIT化ではない
デジタル技術を用いて変革を図るDXは、IT化と混同されやすい概念ですが視点が異なります。ここからは、DXとIT化の違いとDX推進のポイントについて解説します。
DXとIT化の違い
DXは、単なるIT化とは異なります。IT化では、デジタル技術を用いて効率化に取り組むのに対して、DXはデジタル技術を用いてビジネスモデルや組織体制の変革を図ります。最新のデジタル技術を導入するだけでは単なるIT化の範疇にとどまり、DXとはいえません。
DX推進のポイント
DX推進のポイントは、経営の仕組みづくりとDXの基盤となるITシステムの構築です。このポイントについては、経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」で言及されています。
ビジネスを変革させるには、業務に活用できるITシステムを構築するだけではなく、ITシステムによって何をどのように変革したいのか、明確化しておく必要があります。
CXの向上が重要視される背景
CXがビジネスシーンで重要視されているのはなぜでしょうか。ここからは、重要視される背景について解説します。
顧客との接点が多様化した
インターネットやSNSの普及により、これまでのように店頭やECサイトでの体験だけでなく、さまざまな場面で顧客と接点を持つようになりました。接点の多様化により、顧客によって消費行動が異なるようになったため、売上向上を図るには、どの接点を経由しても質の高い顧客体験を提供できるように、戦略を練る必要があります。
顧客側の発信力が強くなった
SNSの普及により、商品やサービスの口コミが拡散されやすい時代になりました。また、悪い口コミはよい口コミよりも拡散されやすく、顧客側の発信力の強さは無視できません。企業にとってマイナスとなる口コミを減らすには、CXの向上が課題です。
競合他社との差別化が難しくなった
昨今では、産業技術の成熟化によって、商品やサービスだけでは競合他社と差別化しにくくなりました。価格や品質だけでは他社との違いを明確にできないため、CXの向上によるリピート率の向上や、ロイヤルカスタマーの育成が必要です。
DXの推進が重要視される背景
ここからは、国をあげてDX推進が重要視されている背景について解説します。
2025年の崖問題
経済産業省のレポートで問題視されている「2025年の崖」は、DX推進が求められる理由の1つです。主要となっている製品のサポート終了などにより、2025年を境に、国内で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされています。DXを実現できない企業は、市場を生き残るのが困難であるため、国際的な成長力の衰えを危惧し、国をあげてDXが推進されています。
IT人材が不足している
人材不足の解決策の1つにIT技術の導入がありますが、人材不足により導入できない企業も多くあります。しかし、多くの業界や業種において課題とされる人材不足の解消には、DXが欠かせません。DX推進に伴うIT人材の育成や最適配置は、人材不足の解決策としても重要視されています。
消費行動が変化している
消費行動の変化も、DXが推進される背景にあります。インターネットの普及により、実店舗での購入よりもインターネット通販を利用する機会の増加など、Web化への対応が遅い企業は大きな損失が出ています。
CXとDXの関連性
ここからは、CXとDXの関係性について詳しく解説します。
DXとCXは手段と目的の関係
DXは手段、CXは目的という関係性があります。DX推進が目指す目的の1つがCXの向上です。DX推進におけるデジタル技術の導入やITシステムの構築などは、CXの向上を図るための手段に該当します。デジタル技術の発展により、CX向上にはDXが欠かせない課題となっています。
CX向上のためのDX推進
CXの向上を目的にDXを推進する場合の手順は下記の通りです。
- ゴールを明確にする
- 現状を分析する
- ゴールと現状の差を埋めるための解決策を実施する
現状とゴールの明確化には、自社の体制やビジネスモデル、商品・サービスの生産ラインなどをさまざまな視点から把握する必要があります。現状とゴールが明確になったら、その差をいかにして埋めるのか、戦略を立てていくとよいでしょう。
DXによるCX向上のメリット
企業は、DXやCXの向上により付加価値が提供できるようになると、競争市場で有利になります。競争市場において、集客・販売促進にも効果的なのは大きなメリットです。また、消費者にとっては、より顧客ニーズにマッチした商品・サービスが提供できるようになるため、利便性や満足度がアップするというメリットがあります。
DXをCX向上につなげるコツ
DX推進によりCXを向上させるには、以下の3つのコツを意識しましょう。
顧客のニーズ調査
DXによって、顧客のニーズ調査を効率化すると、ニーズを正確に把握したうえで、最適な提案がしやすくなります。これまで店頭インタビューやDMなどで調査していた顧客のニーズ調査を、デジタル技術を活用したWebアンケートなどに移行するなど、DX化によって回答率が上がり、ニーズ調査に役立ちます。
調査に基づいたアプローチ検討
DXによって顧客ニーズを把握できたら、適したアプローチ方法を検討します。商品・サービスに付加価値を生み出す方法や、ニーズに適した商品・サービスなどを検討します。アプローチ方法を検討する際は、調査した顧客ニーズをもとに顧客目線で考えることがポイントです。
部門横断の体制構築
CXの対象となる体験の範囲は広いため、部門を横断した協力体制が必要です。特定の部門だけでDXによるCX向上に取り組んでも、成果が上がりにくいでしょう。複数部門で協力できる体制を構築する場合もDXが欠かせません。CX向上の重要性について周知することも大切です。
DXによるCX向上事例
ここからは、DXによるCX向上の具体例を紹介します。
大手アパレルの事例
国内の大手アパレル企業では、AIチャットボットの導入によってユーザの購買体験を改善しました。実店舗の在庫状況の確認や、コーディネートの相談などがAIチャットボットで可能となり、顧客の利便性が大きく向上すると同時にCXも向上しています。
大手コーヒーチェーンの事例
ある大手コーヒーチェーンでは、モバイルアプリによる事前注文・決済を導入により、CXの向上を図っています。アプリから注文した商品は、店頭で素早く受取れるほか、事前決済が可能です。待ち時間の短縮や店頭での注文、支払いの簡素化により、顧客体験が高まりました。
大手ECサイトの事例
世界的に利用されている大手ECサイトでは、CX向上のためにおすすめ機能や口コミ機能を導入しました。似た傾向のユーザが購入しているものや、実際に使った人の実体験を知ることも可能になっています。DXの推進により、商品数の多いECサイトのなかから自分に合った商品を選びやすくなり、CXが向上しました。
大手アパレルECの事例
国内の大手アパレルECでは、さまざまなブランドの商品をまとめて閲覧できるシステムをつくりました。複数ブランドで分かれていて、買い物がしづらい傾向にあったアパレルECにおいて、利便性の高いサイトをつくり上げ、CXの向上を図りました。
さらに、自分の体形に合った商品を見つけやすくする機能や、商品ごとのコーディネート例を紹介する機能なども導入し、CXの向上とともにリピーターの確保にもつながっています。
大手ホテルチェーンの事例
大手ホテルチェーンでは、従業員に高額の決裁権を与え、現場主導で顧客体験を高めるサービスを展開しています。通常では思いつかないサービスの提供が可能となり、CXの向上に役立っています。また、従業員第一主義を掲げ、従業員のメンタリティを醸成することで、宿泊客への最上級のサービスを提供できているのも特徴です。
まとめ
企業にとってDXとCXは、これからの時代を生き残っていくためには欠かせない課題です。CX向上を図るためにはDX推進から取り掛かる必要があり、目標設定を明確にした戦略立てが重要です。
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