コラム
2019/07/03

多言語サイト徹底解説!効果的な制作手順と構築時の注意点とは

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多言語サイト徹底解説!効果的な制作手順と構築時の注意点とは多言語サイト制作の重要性が高まっています。その背景には、経済のグローバル化、2020年の東京オリンピックや2025年の万国博覧会などによって海外からの訪日者が増加するなどの要因があります。グローバル規模での効果的な売上増やブランディングの確立を実現するため、今回は、多言語サイトの制作手順制作時の注意点について、2つの事例とともに紹介します。

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    多言語サイトの制作手順

    多言語サイトを制作する際は、以下のような手順で進めるとよいでしょう。

    多言語サイト制作の目的・目標を明確にする

    グローバル展開する企業において、海外での集客や売上のためにサイトを多言語化することは不可欠です。しかし、単なる多言語化だけでは十分な対応とはいえません。海外における自社サービス・商品の知名度・ブランド力を向上させるためには、何を発信し、何を実現したいのかという目的・目標の設定が重要です。さらに対象国別に法律に従った正しいキーワードターゲティングや、ユーザビリティ・アクセシビリティの向上などが必要です。そして、それらを実現するためのサイト設計やデザイン、企画を立案する必要があります。

    運用体制(本社と現地の役割)を決定する

    日本本社と現地とのバランスは非常に重要なポイントです。サイトやコンテンツの制作を日本本社で行えば一般的な品質は高められますが、現地の顧客にあった最適な情報を発信するのは難しくなります。逆に、現地の情報を重視すれば、コンテンツの品質を維持することが難しくなる可能性があります。これらのバランスを取り、サイトの品質と現地のマーケティングを両立させることで効果的な多言語サイトを運用できます。

    パートナー(Web制作会社やCMSなど)を決定する

    効果的な多言語サイトを制作するためには、パートナーの選び方もポイントになります。調査・コンサルティング能力が高いパートナーを選ぶことでブランド価値を高め、現地が必要としている情報を届けることが可能になるからです。また、多言語対応のCMSを導入して一元管理することで、サイトの品質を一定に保つことができ、管理や更新の手間を大きく軽減できます。運用も含めたサポートを行っているベンダーもあります。

    多言語サイトを制作するときの注意点

    多言語サイトを制作する際は、以下のような点に注意して進めましょう。

    統一感のあるサイト構築をすること

    同じ企業のサイトであるにもかかわらず、言語ごとにサイトのイメージや使用する企業ロゴなどがバラバラだと企業の全体像が伝わりにくくなり、ブランドを高めることにも失敗し、コンテンツの情報の細かさや正確性にも差異が生じます。ただし、例えば同じ色でも好感を持つ国もあれば嫌悪感を持つ国もあります。その国の文化・慣習にあった色の使い方やページレイアウトに考慮することも重要です。

    各国の法律や慣習、規制などを踏まえたサイト構築をすること

    サイトをグローバルに展開する場合、各国の法律や慣習・規制・日付表記などについても考慮する必要があります。最近注目の話題として、EU圏の「一般データ保護規則(GDPR)」があります。EU圏内の個人情報(氏名やクレジットカード番号など)や企業データを他国に明確な許可なく持ち出した場合、全世界の売上高の4%あるいは2000万ユーロという高額な制裁金が科せられます。また、中国やロシアなどの国家では、検閲やサーバーの使用条件などについて独自のIT規制を踏まえたサイト構築が必要です。

    各国のユーザー特性を踏まえたサイト構築をすること

    ユーザビリティやブランドイメージを考えた場合、ユーザーの特性を踏まえたサイトを構築することが重要です。例えば、英語圏のいくつかの地域では画面全体にブランドパネルを表示させるなどの先進的な要素がいち早く実装され、スタンダードとなっています。

    言語ごとに1つのURLを設定すること

    Googleに正しく認識してもらうためには、1つの言語に対して1つのURLを設定することが必要です。そのとき、URLの構造をどうするかについては、いろいろな設定方法があり一長一短です。一般的には、特段の理由がないときはgTLDを使用したサブディレクトリによって言語ごとにURLを切り替える方法が、サイトの評価の向上も見込めるのでおすすめです。

    重複コンテンツ処理をすること

    国別のサイトを制作するとアメリカ、イギリス、カナダなどの英語圏の国々では、英語でほぼ同じ内容のページが複数できます。この場合、Googleは重複コンテンツとみなしてサイトの評価を下げるので、Googleが推奨するタグを使って評価を落とさないようにする対策が必要です。

    監視機能を整備すること

    コンテンツ更新の際には、承認や不具合のチェックといった監視機能の整備が必要です。例えば、CMSには以下の監視機能があります。これらにより不具合やミスにいち早く気が付けて被害を最小限に食い止められます。

    • 承認ワークフロー

      コンテンツ作成者と承認者の権限を分けることで、現地スタッフによる不適切なコンテンツの更新やデータの公開を防止できます。

    • 巡回監視による不具合のチェック

      巡回監視は、グローバルサイトを一定のルールに基づいて(あるいはランダム)確認し、表記ミスやリンクの矛盾を発見する機能です。

    費用対効果を考慮し対応させるページや言語を選定すること

    最初からサイトの全ページを全ての言語に対応させる必要はありません。言語対応にはコストもかかるので、費用対効果を踏まえ、重要性の高いページから順に作り上げていくことが重要です。逆に、品質の低い翻訳のサイトを制作するとGoogleからの評価が低下します。

    多言語サイトの2つの事例

    多言語サイト化により、外国人観光客の増加がみられた事例を紹介します。

    姫路城の事例

    日本の城郭ではトップの来場者数を誇る世界文化遺産で国宝の姫路城は、2015年にサイトとカタログの多言語化(英語・中国語・韓国語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・ドイツ語・ベトナム語の8言語)に対応しました。その結果、入城者数における外国人観光客の割合は10.7%(2015年)→17.3%(2016年度)→23.6%(2017年6~8月)と大幅に増加しました。

    温泉旅館「山城屋」の事例

    大分県にある、客室わずか7室の温泉旅館「山城屋」は、以前は存続が危ぶまれるほど空室が目立っていました。そこで、経営危機を乗り越えるため地元に住む中国人留学生を採用し、サイトの多言語化(中国語・韓国語・英語・日本語)に着手しました。さらに、旅館の紹介や博多駅からのアクセス、浴衣の着用方法などはYouTubeの動画に翻訳を入れる形で紹介。その結果、外国人宿泊客の増加により客室稼働率はほぼ100%、大手の口コミ評価で3年連続のトップ10入り(宿泊客の8割は外国人観光客)に変貌。経営危機を乗り越えました。なお、YouTubeの翻訳では、ただ単に言語を翻訳するのではなく、実際に宿泊を体験してもらい宿泊客の目線での伝え方を心掛けるようにするなど、きめ細かく行っています。

    WEBSASくん

    まとめ

    適切な多言語サイトの対応は、外国人ユーザーという新規顧客へのアプローチだけではなく、海外での自社のブランディングを高め、競合他社とのシェア争いという点でのメリットが期待できます。また、大手企業であってもグローバルなサイトの適切な運用(SEO施策、適切な翻訳、適切なWebサイトの構築)に対応できていないケースもあります。効果的に多言語サイトを作成するためにはCMSの利用がおすすめです。事例を参考に効果的な多言語サイトの構築を実現してください。