パーソナライズとは?メリット・デメリットや活用事例を紹介
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少し前まではテレビやラジオ、新聞や雑誌等を活用した大規模で一方通行的なマスマーケティングが主流でした。しかし、昨今では情報ツールや媒体が多様化したことにより、マスマーケティングだけではユーザーの心に響かなくなってきたと言えるでしょう。
そこで登場したのがWebを中心に利用される“パーソナライズ”という手法です。今回は、パーソナライズの概要やメリット・デメリット、導入事例についてご紹介します。
パーソナライズとは
パーソナライズとはユーザーの情報を収集し、一人ひとりに合わせてコンテンツの最適化を図るマーケティング手法のことです。では、なぜパーソナライズが求められているのか、最近のトレンドと合わせてご説明しましょう。
一方的なマスマーケティングでは不十分
以前は、テレビやラジオ、新聞や雑誌などのマスマーケティングにより、ユーザーは企業側が与えたいと思っている情報をただ一方的に受け取っていました。
しかし2010年以降、スマホやタブレットが爆発的に普及したことにより、情報ツールや端末が多様化しました。これにより、ユーザー側で情報を能動的に取捨選択できるようになったわけです。そのため、一方的なマスマーケティングでは、ユーザーの求める情報を十分には伝えられないということが出てきました。
個々に合わせたコンテンツが求められる
例えば、ユーザーによっては「政治に興味がある」「アイドルについて知りたい」など、個々に求めるコンテンツは違います。つまり、現代はユーザーが求める“個々に合わせたコンテンツ”が重要なのです。
そこで登場したのが“パーソナライズ”という手法です。
パーソナライズによって、収集したユーザーごとの情報を分析し、個々に合わせたコンテンツに最適化できます。「政治に興味があれば政治の情報」「アイドルが好きであればアイドルの情報」と絞ってコンテンツを提供することができるのです。
パーソナライズレコメンドが主流の時代に
パーソナライズを活用した手法でとくに注目を集めているのが“パーソナライズレコメンド”です。ユーザーの普段の行動から趣味・嗜好を予測し、先まわりしてユーザーの求める情報に絞って提供するというものです。
例えば、Amazon.comを利用していると、ページの一部に“おすすめ商品”が提示されることがあります。これもパーソナライズレコメンドによるユーザーを絞った情報です。
このように、自社のWebサイトに訪問したユーザーの行動履歴を分析することで、情報提供の精度をより高め、コンバージョン(商品の購入や会員登録など)に誘導しやすくなるのです。
パーソナライズのメリット
今後、パーソナライズによるマーケティングが広がっていくでしょう。このパーソナライズのメリットは、以下の通りです。
潜在的ユーザーに向けて発信できる
ユーザーの多くは、自身が何を求めているのかを理解していません。そこにパーソナライズを活用することで、ユーザー自身が求めてきた情報に気づかせることができることがあります。こうした“潜在的ユーザー”を発掘することで、コンバージョンの向上につながっていくでしょう。
ユーザーとの信頼関係を構築できる
パーソナライズでは情報をユーザーに還元するだけでなく、自社の研究開発組織にも共有できます。これまでユーザーの要望が間接的にしか届かなかった組織でも、ユーザーに最適化した情報や商品を届けることで、ユーザーからフィードバックを受け、よりユーザー目線に立った商品開発が可能になります。近年、急激に成長している企業の中には、こうしたパーソナライズを活用し、ユーザーとの信頼関係を構築している企業もあります。
情報の蓄積により精度を高められる
マーケティングではどれほど情報を蓄積できるかが重要です。パーソナライズではユーザーの情報を蓄積することができます。情報の蓄積量が増えるほどに分析の精度を高めることにもつながり、よりユーザーの求めるコンテンツだけピンポイントで提供できるようになるのです。
パーソナライズのデメリット
このように、パーソナライズにはメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
ユーザーの取得できる情報が偏る
パーソナライズを活用するほどに情報は蓄積され、ユーザーの趣味・趣向に合わせたコンテンツのみが提供されます。企業側からするととてもメリットがありますが、ユーザー側からすると情報を制御されている状態と言えます。あまりにも情報を制御しすぎると、将来的に信頼を失うことになるかもしれません。
検索エンジンを活用する場合は注意が必要
ユーザーにコンテンツを届けるために、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを活用することが一般的です。検索エンジン経由でコンテンツを見てもらう場合は、検索順位の上位に表示される必要があります。上位表示させるためには、コンテンツにキーワードを盛り込むといったSEO対策が必要になるため、ユーザーが求めるコンテンツの内容と異なるものになる場合があるので注意が必要です。
ユーザーの求める情報とは限らない
ここまで、パーソナライズを活用すればより精度の高い情報をユーザーに提供できることを紹介してきました。ただ、人間の趣味・趣向は移ろいやすいものです。これまで蓄積してきた情報を活用したからといって、本当にユーザーが求めている情報を届けることができるとは限りません。パーソナライズを過信してしまうと、このようなリスクがあるのです。
パーソナライズの活用事例
パーソナライズは、インターネットサービスで使用されることが多い手法です。パーソナライズの活用事例を見ていきましょう。
Googleなどの検索エンジン
パーソナライズの活用事例でまず挙がるのがGoogleやYahoo!などの“検索エンジン”です。同じキーワードで検索しても、ユーザーによって検索結果は異なるようになっています。これは検索エンジンがこれまでの行動を記録していて、個々の趣味・趣向に合わせた検索結果を表示することで、ユーザーの満足度を高めようとしているためです。
Gunosyなどキュレーションメディア
GunosyやNewsPicksなどの“キュレーションメディア”の多くも、パーソナライズを活用しています。TwitterやFacebookなどのアカウントから登録やログインできるキュレーションメディアであれば、各SNSを通してユーザーが何に興味を示しているのかを分析し、ユーザーが求めているリアルタイムな情報を優先して提供することができるのです。
メディアサイトのレコメンド機能
インターネット上の多くのメディアサイトには“レコメンド機能”が搭載されています。ページ上の一部にユーザーの趣味・趣向に合わせた記事や商品を掲載するというものです。記事や商品はあくまで“おすすめ”としてユーザーの行動を邪魔しない範囲で表示されるため、パーソナライズによる情報の偏りを防いでいます。
メールマガジン
昔からあるパーソナライズの手法としては“メールマガジン”も挙げられます。「●●さま こんにちは」といった冒頭のあいさつ文をはじめ、メルマガの内容をユーザーに合わせてカスタマイズできます。レコメンド機能と組み合わせて、ユーザーに合った商品を案内することもできるのです。
まとめ
今後、パーソナライズがマーケティングの手法として主流となっていくでしょう。さまざまなメリットがありますが、デメリットもあることを認識することが重要です。 メリット・デメリットを正しく理解したうえで、パーソナライズをマーケティングのひとつとして活用してみてはいかがでしょうか。