顧客分析のための基本手法デシル分析、RFM分析の違いとは
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顧客分析の手法として、よくデシル分析とRFM分析が一緒に取り上げられているのを目にすることと思います。しかし、実はこの2つの区別がついていない、という方は意外に多いです。ここでは、2つの分析方法の違いやそれぞれのメリット・デメリット、そして具体的な活用法について触れていきます。
デシル分析・RFM分析の違いを知る
デシル分析とRFM分析の違いは、指標とする数の差です。双方共に顧客の購入履歴や行動を把握した上で、分類や分析を行うために用いられます。しかし、デシル分析は顧客がこれまで購入した合計金額のみであるのに対して、RFM分析はこれまでの購入金額に加えて、最近に購入した日にち、ショップを訪れた回数の合計3つが指標となります。
もう少しそれぞれの分析を、詳しく見ていきましょう。デシル分析に用いられる単語「デシル」とは、分量の単位「デシリットル」に用いられるように、ラテン語で「10等分」を意味します。顧客が自社のショップで使ったお金の合計金額を基に、顧客全体を10等分したグループに分けて分析する手法です。デシル分析では、それぞれのグループ別に異なる販促を行うのが常套です。一般的には、100人の顧客がいたならば使った金額の多い顧客から順に、10人ごとのグループを10個作ります。
一方RFM分析は、デシル分析と共通している合計金額(Monetary)に加えて、直近の購入した日(Recency)や来店頻度(Frequency)も考慮してデータ分析を行います。指標が多い分顧客の購買状況がデシル分析よりも細分化されるため、より密度の高い販促行動が可能です。項目が多いため、デシル分析のような10等分ではなくデータを5分割してアナライズするのが一般的です。
デシル分析・RFM分析、それぞれのメリット・デメリット
次に、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。顧客を購入金額に基づいて10等分してアナライズするデシル分析のメリットは、指標がひとつであるため何より手軽・簡単に分析できる点にあります。特に、店長や販促担当に就任したばかりで顧客の分析を初めて行う、という方には最適です。ややこしい計算や概念を理解する必要がない上に、実際に販促に役立つ即戦力のデータが手に入るのが嬉しい点でしょう。取得したデータ、分析した結果から販促やキャンペーンを打ち出すことができます。
反対にデメリットとして挙げられるのは、メリットで挙げた「単純すぎる」という点にあります。単純明快であるということは諸刃の剣であり、単に価格が高い・安いで人間は購入を決めません。自身が消費者側に立った時の視点を想像すれば分かると思いますが、さまざまな要素が絡みあって購入しているはずです。また、5年以上前に一度だけ高額商品を購入した顧客も上位グループに入るといった問題点もあります。長期的な顧客の分析や、細かい戦略を打ち出していく上では不向きです。
もう一方のRFM分析のメリットは、異なる指標が3つあるためより複雑で広い視野による分析が可能である点です。時間軸や顧客の心理条件などもプラスして考えることができるため、より細かく顧客のニーズに寄り添った分析・販促が可能となります。分析結果から顧客を、優良顧客や新規顧客、休眠顧客や離反顧客などに分類して作戦を立てるのが主な活用法です。
反対にデメリットを挙げると、項目が3つ増えたことにより複雑化する点です。単に調べるデータが3種類になるだけであればさほど苦でもありませんが、基本的手法としてそれぞれの指標ごとに5段階に分けるため、これを3種の組み合わせを行うとグループ数が125通り発生してしまいます。グループ数が多すぎても対策がとりにくいため、一般的にはいくつかの似たグループを統合して考慮していく必要があります。
顧客分析をマーケティングに活用する方法
まず、デシル分析で導き出されたデータの活用方法から見ていきましょう。たとえば顧客が100人のショップだとして、10人ずつの10グループに分けます。順位1のグループ(上位10%)がお店全体の売り上げの40%、順位1〜5のグループ(上位50%)が売り上げ80%を占めていたとします。この場合、顧客全て100人をリピートさせても、上位50人をリピートさせてもさほど売り上げは変わりません。であるならば、上位50人に絞った方が販売コスト・労力が抑えられます。
また、デシル分析からそれぞれのグループの、一人当たりの平均購入単価も分かります。多くの店舗の場合、上位グループの購入単価が高く、下位グループの購入単価は低いです。購買力が高い上位グループの囲い込みを行うのが、最も手っ取り早い施策となります。
RFM分析では、さらに「お店にとって良い顧客を見極める」手法です。R・最近買い物に来た日、F・今までに来店した頻度、M・購入合計金額をそれぞれ5段階で分けるため、555が最上客であることがすぐ分かります。反対に、111は顧客であるかどうかを考える必要があるでしょう。
ここで、さらに細かく詰めていきます。511グループはつい最近来店されたばかりのお客様であるため、来店頻度と購入額を上げるために割引クーポンやダイレクトメールを送る意味があるでしょう。頻繁に来店するものの購買力が低い551のお客様よりも、将来性があるグループです。反対に、115の場合は購買力があるものの最近めっきり来店しないため、競合他社に奪われてしまった可能性が高いと見ることができます。
ただ、ここまで極端な数値は大掛かりなセールや新商品発表などを打ち出した時で、大抵は323や432など中間層が非常に多いです。RFM分析を用いる上で最も大切なのは、良いお客様となる見込みが高い顧客を見つけて、いち早く555に近づけることでしょう。
デシル分析で手っ取り早く、RFM分析で緻密かつ入念な計画を
指標とするデータが1つである分、RFM分析よりもデシル分析の方がお手軽で始めやすいため、まずはデシル分析から取りかかるようにしましょう。3つの指標を基に分析するRFM分析では、売り上げの向上だけでなく将来性のある顧客の見極め・顧客の成長など、ショップ自体の存続・成長も兼ねます。何より大切なのは、分析しただけで終わらせずに実際のマーケティング施策に落とし込んで、常に臨機応変に対応していくという点です。行ったマーケティング施策によってまたさらにデータがどう変動したかを再度分析して、PDCAサイクルの速度を高めていきましょう。
また、具体的に顧客データーベースをマーケティングに活用するために必要なサービスとして「WEBSAS」があります。詳細についてはサイト(https://websas.jp/)にて説明していますので、是非とも確認ください。