マーケティングオートメーション導入後によくある失敗とは
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マーケティングオートメーションとはマーケティングの業務プロセスを自動化するシステムツールです。これによって、業務の効率化を図ることが出来るなど、様々なメリットがありますが、マーケティングオートメーションを導入したものの、上手く機能していない事例もあります。ここでは失敗の理由を探ることで、マーケティングオートメーション導入を成功させるためのポイントについて考えます。
なぜ失敗してしまうのか?
マーケティングオートメーションは上でも述べたようにマーケティング業務を効率化するものです。例えば営業が、顧客に新製品のお知らせなどを送ることは大切な業務です。マーケティングオートメーションを導入することで、自動でこの業務プロセスを代行してもらうことが出来るようになります。
また、サイトを訪れた顧客に対して自動的にその顧客の好みに合った商品をプッシュするということも、マーケティングオートメーション導入によって可能となることの1つです。
このようにマーケティングオートメーションは、既存の顧客離れを止めるためにフォローし続けるだけではなく、新規顧客の獲得へも貢献します。人間はメール送信などの定型化された業務から解放され、より重要な業務へ集中できます。営業部門の人手不足解決にも貢献します。
しかし、実際にはマーケティングオートメーションを導入しても上手く機能していないという事例があります。その理由はいくつかあるのですが、最も主な理由として挙げられる点が「コンテンツ不足」というものです。
リードナーチャリング(見込み顧客育成)やメール配信を自動で行うためのシナリオ作成を完璧に行ったとしても、実際に顧客との接点を持つための資料やサイトページ、あるいは展示会やセミナー、アンケートなどのコンテンツの中身を作るのは人です。
この点の準備が不足だったために、マーケティングオートメーションを導入したものの顧客へ働きかける機会が作れず、スタート自体が出来なくなっているといった失敗事例が、しばしばあるのです。
コンテンツの重要性
では、なぜコンテンツ不足だと、マーケティングオートメーション自体がスタート出来ない、上手く機能しないといった失敗例につながってしまうのでしょうか?
それはマーケティングオートメーションのそもそもの目的、考え方の肝は、顧客ごとのニーズに合ったコンテンツを自動で提供する、ということにあるためです。単にメール配信を自動で行うなど、業務プロセスの一部だけを代行するようなものがマーケティングオートメーションではありません。もっと戦略的で、積極的に働きかけるものとして捉える必要があります。
例えば、ある企業が既存顧客の離反防止に力を入れたいと考えているとしましょう。そのため顧客リストをもとに、まずは定期的なメール配信でフォローをし、メールクリックでサイトのお勧めページに誘導します。このメール配信や誘導の仕組み、自動でお勧めページを表示する仕組みを提供するのはマーケティングオートメーションですが、より大切になるのは、メールやサイトページの中身です。ここは人間が考える必要があります。そして、その内容が魅力的でないと結局は「しつこい」勧誘と思われて、逆効果になりかねません。
そのアプローチが受け取る人にとって魅力的な内容となるように、常にコンテンツの内容を考え、変えていくことが必要なのです。
これが、コンテンツが重要であるとされる理由であり、逆に導入後に失敗してしまう事例の大きな原因ともなるのです。
コンテンツ不足を避けるために
コンテンツ不足で導入に失敗しないためには、具体的なチェックポイントやKPI(重要業績評価指標)を明確にして取り組むことが大切です。
#1.メール送信するアドレスの量
メール配信を積極的に行いたいと考えたとしても、そもそも送る先のアドレス量が少なければ、逆に効率の悪い手法となってしまいかねません。「100件程度のアドレスしか集まっていない」などの場合にはメール配信よりも先に、アプローチできるメールアドレスを増やすような施策をとる方が効果的です。
#2.ステップメール配信のシナリオ
顧客のアクションによって、徐々にメール内容を変化させて最終的に購入まで誘導するようなステップメールの配信は企業にとって行ってみたい施策の1つではありますが、ステップ毎にコンテンツを準備するのは想像以上に手間のかかるものです。最初からあれもこれもと詰め込んだシナリオを考えると、いつまでも先に進まないということにもなりますので、最初は簡単なシナリオから試すなど、徐々に行っていくことも大切です。
#3.配信するメールのネタ
定期的なメール配信を、その都度魅力的な内容で行い続けることはなかなか大変なことです。「誰が、いつ、何を」といったメール配信のルールを最初にしっかりと決めて、管理を徹底することが大切です。
#4.メール配信後の反応に対する対応
メール配信後、良い反応があった場合の対応はしっかりと決めているでしょうか。折角のチャンスを逃さないよう、配信後にどのような反応があったらどういう対応をとる、など事前に決めておきましょう。
#5.Webサイトの充実度
自社サイトのコンテンツの充実も非常に大切です。メール配信を受けて気になる点があった顧客は、ほとんどの人がサイトもチェックするでしょう。その際に、「メールは良かったけれどサイトはあまり更新されてないようだ」という印象を持たれてしまうと、それだけで顧客は離れていってしまうことがあります。逆にコンテンツを顧客属性ごとに細分化させて充実を図り、定期的な更新を心がけていると、印象が良いだけでなく、どのページを見たかなどから顧客の好みを把握できるチャンスが生まれます。
#6.スコアリングの基準
顧客のアクションに点数をつけて、ある点数以上たまるとホットリード(購入可能性の高い顧客)と見なすというスコアリングはマーケティングオートメーションの中でも人気のある機能です。しかし、このスコアリングには1つ難点があり、例えばメールクリックだけをした顧客と実際に展示会に申し込みをした顧客とでは、展示会に申し込みをした顧客の方が購入可能性の高い顧客であるはずですが、取得した点数が同じであれば、同じと判定されてしまう可能性があるということです。
スコアリングを適切に機能させるためには、点数の配分やホットリードの判定方法など、基準を明確にしておく必要があります。
#7.それぞれの担当者
マーケティングオートメーションの導入を成功させるためには、それぞれの担当者を設置し役割分担を明確にすることが非常に大切です。
例えば
- コンテンツ制作者(メールの内容、サイトページ)
- 顧客へのアプローチ担当者
- 効果測定や分析担当者
- 全体の責任者
は少なくとも必要になります。それぞれが協力し合い、お互いの役割を果たすことで、マーケティングオートメーションも上手く機能するようになります。
マーケティングオートメーション導入で失敗しないためのポイント
マーケティングオートメーション導入後に失敗してしまう理由の主なものはコンテンツの不足です。顧客のニーズに合ったアプローチを行うために、担当者を明確にし、コンテンツの充実を図り続けることのできるような仕組みを作り上げることが、マーケティングオートメーション導入の成功のためには必要です。
また、コンテンツ部分だけではなく
- 長期的な視点で導入後の効果を測ることができる体制になっているか
- 価格や料金のみにこだわった決めかたになっていないか
- 会社全体の優先順位が明確になっているか
- コンプライアンスの問題はクリアしているか
などのポイントも1つ1つ解決することで、より成果が現れやすくなるでしょう。