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顧客体験価値とは?構成する5つの要素や重視される背景、向上させる方法を解説

顧客体験価値とは?構成する5つの要素や重視される背景、向上させる方法を解説企業が取り組むべき課題の1つとして、顧客体験価値の向上があげられます。近年は商品やサービス自体の価値だけでなく、顧客体験価値が特に重視されているためです。この記事では、顧客体験価値について解説します。顧客体験価値が重視されている背景や向上のためのポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 顧客体験価値とは
  2. 顧客満足度との違い
  3. 顧客体験価値の5つの要素
  4. 顧客体験価値が重視される背景
  5. 顧客体験価値の向上ステップ
  6. 顧客体験の分析方法
  7. 顧客体験価値を高めるポイントとは
  8. 顧客体験価値の向上に成功した事例
  9. まとめ

顧客体験価値とは

顧客体験価値とは、商品やサービスの検討から購入後までに体験する価値のことです。商品やサービスそのものに加え、購入や利用に関する体験のすべてが含まれています。現代のビジネスにおいては、消費者の体験にどれだけ付加価値をつけられるかが重要になっています。

顧客満足度との違い

顧客体験(CX)に似た考え方として、顧客満足度(CS)があります。顧客満足度とは、顧客が商品やサービスを購入して得られた満足感の度合いのことです。そのため、顧客満足度の対象は、あくまでも商品やサービスを購入した顧客に限定されます。一方、顧客体験価値は商品やサービスに関係するすべての体験を指すため、多くの消費者が対象になりえます。

顧客体験価値の5つの要素

顧客体験価値には5つの要素があります。それぞれについて解説します。

感覚的価値

感覚的価値(Sense)とは、消費者が五感で感じ取れる価値を表しています。たとえば、飲食店の場合、料理の味や香りはもちろん、見た目のよさも消費者にとっての価値になります。また、店内のBGMやインテリアなども、感覚によって得られる価値の1つです。五感を通して心地よいと感じられれば、評価が高くなります。

情緒的価値

情緒的価値(Feel)とは、消費者の感情に働きかける価値のことです。たとえば、消費者を感動させるような接客は、情緒的価値に含まれます。また、商品やサービスの利用について丁寧なサポートを行い、消費者から信頼を得られた場合も同様です。商品やサービスの質のみでの差別化は難しくなっているため、情緒的価値が重視されるようになりました。

創造的・知的価値

創造的・知的価値(Think)は、消費者にワクワク感を与えることで生じる価値です。具体的には、魅力的な商品やサービスへの期待感や興味などが該当します。創造的・知的価値のポイントは、商品やサービスの提供を通して消費者の知的好奇心をくすぐることです。

行動、ライフスタイルにかかわる価値

行動、ライフスタイルにかかわる価値とは、生活や行動に大きな変化をもたらす価値を意味しています。例えば、近年はアウトドアがブームになっており、これまでキャンプの経験がない人がキャンプに興味を持つようになりました。新しいアウトドア体験をするきっかけを与えられれば、消費者に新しい価値を感じてもらえます。

準拠集団への帰属価値・社会的経験価値

準拠集団への帰属価値・社会的経験価値(Relate)とは、集団への帰属意識から得られる価値です。たとえば、ファンクラブや限定イベントなどに参加して得られる価値が該当します。人間には仲間を求める親和欲求があるため、特別感のあるコミュニティに所属しているという意識は、その人にとって大きな価値があることを意味します。

顧客体験価値が重視される背景

ここでは、顧客体験価値が重視されている背景について解説します。

顧客接点の複雑化

近年は顧客接点が複雑になっています。IT技術の発達により、SNSやWebサイトなどを通じたさまざまな顧客接点が増えているからです。企業は、それぞれの接点を通して消費者の購買意欲を刺激する必要があります。また、購入後、他人に勧めたいと思わせるような価値も提供しなければなりません。

商品自体の差別化が難しい

従来、消費者が商品を購入する際の基準は、質や価格などでした。しかし、近年は商品やサービスの種類が増え、差別化が難しい状況になっています。

そのため、商品やサービスそのものだけでなく、口コミ、評価、スタッフの対応、アフターフォローなどを総合的に判断したうえで、どれを購入するか決める消費者が増えています。消費者に選ばれるには、魅力的な顧客体験価値の提供が不可欠です。

コト・トキ消費へのシフト

消費者の消費活動は、モノ消費からコト消費やトキ消費へ変化しています。モノ消費とは、購入して使用した後も形として残る消費活動を表しています。それに対してコト消費とは、特別な経験をする消費活動です。また、トキ消費とは、特別な時間を過ごす消費活動を指しています。コト消費もトキ消費も体験を重視しているため、顧客体験価値がより重要になっています。

サブスクリプションの普及

従来は商品やサービスの販売がビジネスのゴールでした。しかし、近年はサブスクリプションが普及し、契約後に継続して使い続けてもらう必要があります。そのためには、顧客と良好な関係を築かなければなりません。顧客との関係づくりにおいては、顧客体験価値の向上が重要です。

顧客体験価値の向上ステップ

顧客体験価値を向上させるには、段階を踏む必要あります。ここでは、顧客体験価値の向上ステップについて解説します。

カスタマージャーニーの想定

カスタマージャーニーとは、商品やサービスの認知、購入、他社への推奨に至る道筋を想定してまとめたものです。顧客体験価値を向上させるには、見込み客のペルソナをイメージしたうえで、カスタマージャーニーをつくる必要があります。ペルソナやカスタマージャーニーが明確になると、顧客接点も可視化できます。

顧客体験の課題発見

カスタマージャーニーを想定したら、現状の顧客体験がどのようになっているか分析しましょう。消費者の行動の流れがイメージできれば、現状の顧客接点の課題も洗い出しやすくなります。消費者の行動を情報収集、購入、利用の3段階に分けたうえで、それぞれにどのような課題があるか分析するとスムーズです。

改善の実施

明らかになった課題を解消するための施策を検討しましょう。解決策を実行したら、必ず効果を検証することが大切です。期待していたような効果を得られない場合は、施策を改善したうえで再び試してみる必要があります。改善と実施を繰り返し、施策をブラッシュアップしてください。

顧客体験の分析方法

顧客体験の分析方法の1つとして、NPS(ネットプロモータースコア)を使う手法があります。NPSは、商品やサービスを他人へどの程度勧めたいか顧客に点数をつけてもらい、点数の分布をもとにスコアを計算する方法です。NPSを参考にする際はスコアの数字をみるだけでなく、業界の平均値も考慮する必要があります。

顧客体験価値を高めるポイントとは

顧客体験価値を高めるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的なポイントを解説します。

企業全体で取り組む

顧客体験価値を高めるには、企業全体で取り組むべきです。1つの部署や部門で顧客体験価値の向上を目指しても、成果は出にくいです。顧客接点は複数あるため、企業全体で顧客価体験価値を高める意識を持つ必要があります。認識をそろえ、顧客体験価値を着実に高めましょう。

顧客データの活用

顧客体験価値の向上を目指すには、顧客データの活用も重要です。近年は顧客の行動を記録し、データとして蓄積できるようになりました。定量データと定性データの両方を有効利用すれば、顧客体験価値の向上に必要な施策も明らかになります。

チャネル全体で蓄積した顧客データを利用できるよう、効率的なデータ活用を実現できるデジタル基盤の再構築も検討しましょう。

顧客体験価値の向上に成功した事例

さまざまな企業が顧客体験価値の向上に成功しています。ここでは、具体的な事例を紹介します。

保険会社の事例

ある保険会社では、顧客満足度が高い反面、消極的な理由により顧客から選ばれていると分かったため、顧客体験価値の向上に取り組みました。あえて顧客からのネガティブな評価も公式サイトに掲載し、自社の信頼性を消費者自身に判断してもらえるようにしています。保険料を下げる方法や、保険が適用になる状況など消費者が気になっている情報を多く提供した結果、顧客体験価値が高まりました。

パソコンメーカーの事例

あるパソコンメーカーでは、商品の質を高めるだけでは競合他社に勝てないという危機感をもち、顧客体験価値の向上に注目し始めました。顧客体験を改善するための取り組みを毎日続けた結果、顧客からの評価が高まっています。四半期ごとに実施している顧客満足度調査においても、よい評価を得られています。

コーヒーチェーンの事例

あるコーヒーチェーンでは、丁寧な接客、驚きを与える商品、地域に適した店舗デザインなどにより、顧客体験価値の向上に成功しました。また、ステータスに応じて異なる特典を受け取れるポイントサービスも実施しており、顧客体験価値をさらに高めています。競合他社の差別化にも成功し、成長を続けています。

まとめ

顧客体験価値が向上すると顧客満足度にもよい影響を及ぼします。口コミによる評判も高まりやすく、新しい顧客の獲得にもつながります。リピート率の向上も期待できるため、業界における競争力を強化することが可能です。顧客体験の現状の課題を明らかにしたうえで、改善につながる施策を実施しましょう。

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