大量のデータ分析を行う際に活用するOLAPとは
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はじめに
昨今のIT社会において、大規模で処理が複雑なデータ群全体を示す「ビッグデータ」が注目を集めています。大容量のデータ分析を行う上で重要なツールの一つである「OLAP」について、詳しく掘り下げていきます。
OLAPとはどんなシステム?
「OnLine Analytical Processing」の頭文字を取ったOLAPとは、「時間」「場所」「商材」など複数の次元が合わさった多次元データモデルを取扱い、高速処理によって素早く分析する手法を指します。データベースに登録された膨大なデータに対し、リアルタイムに処理を行うことができるため、市場分析や経営報告などに用いられています。企業が持つ大容量のデータを収集・蓄積し、分析した結果を経営の意思決定に反映させる「ビジネスインテリジェンス」の一つとして様々な分野で使われています。対話的な操作が特徴で、表やグラフなどを用いたグラフィックにより、分析結果を分かりやすく表示できることがメリットの一つです。データ分析に長けていない経営者であっても、OLAPを用いることで有用な情報を引き出せるシステムとして注目を集めています。
OLAPの主なシステム構造
OLAPは多次元データを取扱う特性を活かし、様々な視点から分析を行うための処理や操作が行えるように設計されています。「ダイシング」と呼ばれる処理は、次元の切り替えを意味しており、視点を切り替える役目を果たしています。「費目」「プロジェクト」「年度」の3つの次元がある場合、表の縦軸と横軸をどの次元にするか自由に選択することができます。「スライシング」は、次元の切り出しのことを指しており、決定した縦軸と横軸から二次元の表を作成することが可能です。次元毎でさらに深い階層がある場合、「ドリルダウン」の機能を使うことで詳細内容を確認していきます。集計結果の元データを参照したい場合は、「ドリルスルー」という機能を用います。集計結果は、昇順や降順など自由に並べ替えることができるだけでなく、表やグラフを瞬時に切り替えられるため、使用目的にあったアウトプットを出すことができとても便利です。
様々な種類があるOLAPシステム
「Multidimensional OLAP」の頭文字から取った「MOLAP」は、多次元OLAPとも呼ばれており、最もスタンダードなシステム方式として知られています。あらかじめ、多次元のデータ構造を整備した状態で元データを作成し、「多次元データベース」に格納した上で、分析に必要なデータを適宜取り出して解析していきます。多角的で複雑な分析を得意としますが、取り込んだデータをもとに計算処理を行うため、リアルタイム性に課題が残ります。また、ユーザーは独自の多次元データベースに対して理解を深める必要があります。「Relational OLAP」の略語である「ROLAP」は、元データが格納されているリレーショナルデータベースの全てを利用して分析を行うシステムです。リアルタイム性に長けている反面、分析に時間を要するケースもあります。一方、MORAPとROLAPの中間的な実装システムである「ハイブリッドOLAP」も存在し、双方の良さを取り入れたシステムとして活用用途が広がっています。
OLAPができること
OLAPの提唱者はコッド博士だと言われていますが、1993年にOLAP分析ツールを満足させるための「12の要件」を発表しました。多次元のデータが扱えるのはもちろんのこと、エンドユーザーが楽にアクセスすることができ、データベース構造の理解を不要とするサーバー型であることが主な内容です。OLAPは、ビジネスインテリジェンスの一つとしてマーケティング業界で知られる存在ですが、集計データを整備することで大局的な傾向を捉えることができ、傾向そのものを定量的数値で分析することができます。年度別や昨年同月比などの売上高比較や製品別の収益比較、代理店や販売員などの成績順位などを確認することが可能です。
OLAPのメリット
オンライン分析処理を行うことで、企業内に蓄積された膨大な量のデータを解析し、多次元的なグラフィック表示が可能です。そのため、データ分析を様々な角度から実行できるため、利便性の高さがメリットの一つです。多くのOLAPシステムでは、インターフェースに工夫を凝らしており、誰が見ても理解できるように設計されています。操作画面を一目見ただけで色々な分析を行えるため、高い操作性も魅力の一つとして挙げられます。大量のデータを高速処理することから、分析結果を瞬時に導き出すことができ、複数の解析レポートに基づいた適切な判断ができるのが大きなメリットです。
活躍の幅が広がるOLAP
OLAPは、マーケティング用語として知る人ぞ知る存在でしたが、ビッグデータという言葉が世の中に浸透している中で注目を集めている手法であることが分かりました。企業などでの活用により、意思決定のための重要なツールとして活用の幅が広がっています。AIの進歩や自動運転の進展などに相まって、さらにOLAPの活用用途の深化が期待できます。
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