コラム
2022/07/26

優良顧客育成のカギ、RFM分析3つのポイント

  • コンサルティング

はじめに

優良顧客育成のカギ、RFM分析3つのポイント 新規顧客を開拓し、長期にわたって自社を利用し続けてくれるようないわゆる優良顧客を育成するためには、顧客分析が非常に重要とされています。中でも顧客分析の手法の1つであるRFM分析は、簡単でありながら効果的な方法です。RFM分析を行う上での3つのポイントをまとめました。

RFM分析の3つのポイント

そもそも、RFM分析というのはどのような分析手法なのでしょうか。これは全顧客を、RはRecency(最新購入日)、FがFrequency(購入頻度)、そしてMはMonetary(累計購入金額)という3つの指標でグループ化とランキング化を行う方法です。
この分析によって、顧客を新規顧客、優良顧客、安定顧客、離反顧客などに分類していきます。そして、企業はそれぞれのグループに対してどのような対応策を取るか決定します。つまり、顧客のLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を高めることができるようになります。
RFM分析の3つの指標についてもう少し詳しく述べると、

  • 1.R(Recency:最新購入日)いつ購入したのか
  • 2.F(Frequency:購入頻度)どの位の頻度で購入しているか
  • 3.M(Monetary:累計購入金額)これまでに合計でいくら購入しているか

です。この3つの指標によるランキング化の結果を色々と組み合わせて顧客の分類を行うわけですが、実はランキング化する際の条件が、この分析手法においては重要になります。その条件次第で顧客分析の結果が変わってくるからです。
従ってRFM分析の3つのポイントとは、このRFMそれぞれの指標そのもの、あるいはこの指標それぞれを用いてランク付けする際の条件ということになります。

RFM分析で分かる事

RFM分析を行うことでどのようなことが分かるのか、具体的な分析方法と共に解説しましょう。
まず、3つの指標それぞれで顧客をランキング化します。

Rによるランキング

顧客が最後に購入したのはいつか、というデータをもとに例えば以下のような条件でランク付けします。()内の数字はランキングです。

  • 30日以内(1)
  • 90日以内(2)
  • 120日以内(3)
  • 365日以内(4)
  • 365日以前(5)

Fによるランキング

顧客が今までに何回購入しているかでランク付けします。

  • 20回以上(1)
  • 15回以上(2)
  • 10回以上(3)
  • 5回以上(4)
  • 1回以上(5)

Mによるランキング

顧客がこれまでに使った購入金額の合計でランク付けします。

  • 100万以上(1)
  • 50万以上(2)
  • 10万以上(3)
  • 5万以上(4)
  • 1万以上(5)
  • それ以下(6)

それぞれのランキングを活用した分析方法

上のように3つの指標それぞれでランク付け後、いよいよ顧客分析を行います。基本的には3つそれぞれについて高いランクになった顧客が良い顧客ということになります。また、同じような金額でランク付けされている顧客が複数いたならば、Rのランクが高い方が良い顧客となります。これは過去に多額のお金を使って購入してくれた顧客であっても、最近は購入履歴がないのであれば、他のお店に利用店舗を移していると捉えられるからです。
このように考えていくことで、RFM分析からは例えば以下のような顧客層が判明します。

  • 1.これから商品を購入してくれそうな人(新規顧客):Fは低いが、Rがごく最近で一番上のランクの顧客
  • 2.店舗で沢山商品を購入してくれそうな人(常連客や優良顧客):Rが高く、Fもトップランクか半分より上のランクの顧客
  • 3.店舗にしばらく来店していない、しなさそうな人(離反予備軍や離反層):Rが低い

この分析をもとに、具体的にどのような対応策をとるか、考えていくことになります。 先にも述べたように、このようにランク付けはRFM分析では極めて重要です。どのようにランク付けするかの条件は慎重に考慮して、自社サービスの特性や業種に合った条件を設定する必要があります。

RFM分析がなぜ優良顧客育成のカギになるのか?

RFM分析によって新規顧客や常連客などの顧客層を把握した上で、適切な販促活動を行うと優良顧客育成につながります。なぜならば、現状の企業の戦略上、誰に対してアプローチをすれば良いのかが明確になるからです。例えば、とにかく新規顧客を増やして常連客になってもらいたいという戦略を立てたとすると、ごく最近に来店した新規顧客にアンケートを実施して商品に対する意見要望を募り、その要望に対してできる限り対応策をとるという行動がとれます。
あるいは、常連客を離さないようにしたいという戦略であれば、常連客層に適切なタイミングでポイントメールを送信したり、誕生日クーポンを送ったりすることができます。
このように、RFM分析を行うとアプローチすべき対象と方法が明確になり優良顧客を育成していくことが可能となるのです。それはつまりRFM分析の目的である顧客のLTVの向上にもつながります。良いところばかりのように思われるRFM分析ですが、以下のような注意点もあります。

1.ランク付けの際の条件

何度か触れたように、3つの指標にもとづいて顧客をランク付けする際、その条件によって全く結果が異なってしまいます。何日以内、何回以上、何円以上といった条件付けはそれぞれの業種や商品・サービス内容に合致したものにする必要があります。この点からいうと、金額は高いが購入頻度がもともと少ないであろう車販売などの業種はRFM分析はあまり向かないかもしれません。

2.Rがないと分析ができない

そもそも、購入日がデータとして存在していないと分析はできないため、見込み客はこの分析では判明しません。

3.販促などの画一化

アプローチすべき顧客層が分かると、どうしてもそのグループばかりに販促を打ってしまいがちになります。常連客を離したくないからと、そのグループばかりにポイントメールを送るなどです。これは顧客からすると「しつこい」状況となり、逆効果となる恐れがあります。
さらに、アプローチの画一化は、それ以外の顧客層を無視している状況となり、今後の優良顧客への可能性を捨てる結果となりかねません。
バランスの取れた施策の実行がポイントとなるでしょう。

優良顧客育成のカギ、RFM分析3つのポイントについておさらい

RFM分析においては、R(最新購入日)、F(購入頻度)、M(累計購入金額)という3つの指標それぞれにおけるランク付けと、そのための条件設定が大きなポイントになります。適切な分析とそれにもとづいた施策は顧客のLTV向上に貢献することができますが、一方で、RFM分析が向かない業種などもあります。自社の課題をしっかりと洗い出した上で、最適な分析方法なのかどうかを見極めることも大切です。