マーケティングの基本、販売チャネルの種類と戦略とは
- 運用
販売チャネルという言葉をご存知でしょうか?これはマーケティングの基本となる用語で、ネット通販などIT技術が急激に進歩・浸透したことに伴い、より重要性を増してきた考え方です。こちらでは販売チャネルの種類と重要性、戦略の立て方について解説します。
販売チャネル戦略とは
販売チャネル戦略とはマーケティング・ミックスの考え方で4P、すなわち「Product」、「Price」、「Place」そして「Promotion」と呼ばれるもののうちの1つです。このうち、販売チャネル戦略は「Place」に当たり、商品を売る場所や経路ということになります。
これは他の3つのPとは少し異なる特徴があるため、慎重に戦略を練らなければなりません。
まず、マーケティング・ミックスの4Pというものは何かについて解説しましょう。
#Product
「製品戦略」。顧客に提供する製品やサービスについて、どのようなものにするのかという戦略を立てます。
#Price
「価格戦略」。提供する製品の価格を決定します。ここでは利益計画に基づいて戦略を立てることが大切です。
#Place
「流通戦略」。顧客に製品を提供するまでの経路について、中間業者など全てを含めた戦略を立てます。販売チャネル戦略もここに該当します。
#Promotion
「プロモーション戦略」。製品の価格や特徴、あるいは存在自体を顧客に伝える戦略を立てます。
販売チャネル戦略の重要性
上で触れたように販売チャネル戦略はマーケティング・ミックスの「Place」に当たり、他とは少し異なる特徴を持っています。それはここだけが外部との関わりを深く持っていることです。つまり販売チャネルを構築するためには、卸業者や小売業者、運送業者が関わってきます。さらにネット通販も行うという場合には、サイト構築会社や運営会社など、多数の他企業を巻き込むことになります。 そのため、販売チャネルを確立するためには手間も費用も時間もかかり、一度立てると容易に変更することは出来ません。中長期的な経営戦略の上で考慮する必要があり、そういった意味で重要性も高まってくるのです。
販売チャネル戦略を立てる際の7つの段階と役割
実際に販売チャネル戦略を立てる際には留意すべき7つの段階と役割があります。1つ1つにおいて顧客の満足度が高まるように最適な戦略を立てれば、これらは単なる戦略を立てる際の段階としてだけではなく、次なるステップアップへ向けた効果を生み出す役割も持つようになります。より製品やサービスの価値を上げ、受け取る顧客の満足度を高めることにもなるでしょう。
#1.調査
「提供する製品やサービスに対してのイメージや意見、要望などを広く収集します。これらは製品開発や改善のための資料となります。
#2.プロモーション
「中間業者などチャネルに関わる会社を巻き込んで、販売促進活動を行います。
#3.接触
「見込み客を発掘し、働きかけていきます。
#4.交渉
「価格を含めた様々な条件の最終決定を行います。
#5.適合
「顧客やチャネルに関わる会社の細かな要望に対応したり、さまざまな部分を微調整します。
#6.物流
「販売する製品の在庫管理や輸送までの一連を管理、決定します。
#7.金融
「販売チャネル全体に必要な予算の確保やどの部分にどれだけの金額をかけるかなどの配分を決定します。
販売チャネル戦略における3つの流れ
販売チャネル戦略(流通戦略)を立てる際にはさらに、大きく3つの流れを考慮する必要もあります。
#1.商的流通
契約受注や発注後の所有権の流れや金銭的やり取りの流れです。製品自体の流れではないので運送手段に関わる業者は含まれません。
#2.物的流通
製品自体の流れになります。小売業者や卸売業者を含め、どのようにすれば顧客の満足度が上がるのかを考えます。
#3.情報流通
製品を売るための広告など販売促進活動や、顧客の意見、金銭のやり取りに関する情報などをどのようにやり取りするかを考えます。
販売チャネル戦略(流通戦略)の目的とは
企業の状況や販売する製品の特性によって、販売チャネル戦略を立てる目的には多少の違いは出てくるかもしれませんが、多くの場合は、顧客が欲しいものを払っても良いと思われるような価格で提供し、顧客満足度を最大化するような戦略にするということ、そして、最終的には企業の売り上げや利益を上げることに貢献できるような戦略にするということが、販売チャネル戦略を考える上での一番の目的となります。
複雑性・多様性を増す販売チャネル
これまで販売チャネルの種類や戦略について基本的な部分を解説してきましたが、現在の販売チャネルはIT技術の浸透や進歩に伴うメディアバリエーションの増加や、様々な企業の異業種への参入などに伴い、支払い手段や販売方法など様々な面において複雑性と多様性を増しています。
また、以前のように不特定多数の一般層への宣伝や営業を行うマスマーケティングから、より特定層を意識したパーソナライズへと、マーケティング手法が変化する中で、エリアや製品毎の特性、それぞれの組み合わせの相性というものをより考慮する必要性が出てきました。
こうした様々な点における変化を乗り越えて、顧客の満足度を上げて利益を生み出すためには、販売チャネルのそれぞれの段階で、製品価値を高めるような最適なソリューションを選択し、実施していくことが必要となります。